過去問の取り組みは順調ですか

入試が目の前に近づいてきました

受験生の皆さんのみならず、お母さん方も何だか落ち着かない気持ちになってくる時期です。

受験生であるお子さんは、受験予定の学校の過去問を順調に解いていますか?
学校のみならず、塾などでも過去問への取り組みを指示されていることだと思います。

私の勤める塾でも、中学3年生の子どもたちがコツコツと過去問に取り組んでいる姿が目立ちます。
いよいよ高校の入試に向けて、お母さん達に提案があります。

  1. 過去問の進み具合を親子で確認する
  2. 間違えた問題をどう処理しているかを一緒に見る
  3. どの問題を解くべきか(捨てるべきか)を見極める
  4. 当日の時間配分を計画する

具体的に説明させて下さい。

1.過去問の進み具合を親子で確認する

まず、今の時点で子どもがどの位過去問を解いているのかを一緒に確認してください。

一般的に過去問の問題集(いわゆる赤本)は過去5年分の入試問題が収録されています。

私はこの5年分を「1セット」と呼んでいます。
お子さんは、1セット終了しているでしょうか?

もしかしたら、数年分しか手が付けられていなかったり、
特定の科目(自分が比較的好きな教科など)に偏って解いているかも知れません。

この記事を書いているのが1月21日。
関西の私立高校の入試まで残すところあと3週間ほどです。

この時期でしたら、できれば2セット以上は終わらせておきたいところ。

もし、2セットはおろか、1セットも終わっていないようでしたら、子どもと一緒に
過去問に取り組む時間を計画して下さい。

年頃の子どもですから、中々素直にお母さんの言うことに耳を傾けないかもしれませんが、
できれば、お母さんのほうから歩み寄って、落ち着いて一緒に計画を立てることができれば最高です。

1科目の解答時間が大体50分。
その後答え合わせと、間違えたところの確認・解き直し。

実は過去問に取り組むのって時間がかかります。

平日でしたら、4時過ぎくらいに学校から帰ってきて、5時くらいから7時までの90~120分。

このあたりの時間帯が有効です。

ついつい、帰宅してのんびりしてしまう子どもが多いですが、この時間帯を逃すと
入浴やら夕食やらとバタバタと用事が立て込んできてしまうはず。

だったら、入浴も夕食も済んだ遅い時間帯は?

という考えもありますが、ここはこの後お話しする「間違い直し」に費やす方が良いのではないかと思います。

夕方の時間帯に2教科(テスト2本)解答できれば中々のものです。

塾がある日などは、このようなまとまった時間を確保することが難しいかと思いますが、
週に2日このような日が確保できれば、3週間でトータル12教科(12本)こなすことができます。

そして、土日。

学校がありませんから、その分取り組み時間は確保しやすくなります。

土日で大切なのは、やっぱり午前中です。

朝9時から昼12時までの3時間。
ここを最大限に活用しましょう。

休憩時間も必要ですから、この3時間に3教科。
土日2日とも使えればこれで6教科(6本)。

入試までに週末が3回あればトータルで18本。

先ほどの平日(12本)と合わせて30本。

つまり、5教科型の入試で6年分。

もしも、子どもがほとんど過去問に手を付けていなかったとしても、このペースで取り組めば
入試までに何とか1セット終了させることができます。

今の時点である程度解けていたとしても、このペースで取り組めば、入試直前に焦って過去問に取り組む必要もありません。かなり気分的にゆとりが持てます。

2.間違えた問題をどう処理しているかを一緒に見る

過去問を解いた子どもは、当然自己採点をしています。
でも、この自己採点が中々やっかいなのです。

正しい自己採点・間違い直しができていない子どもが結構いるのです。

まず、自己採点。

「まさか」と思うお母さんもおられるでしょうが、どもは結構採点ミスをします
記述問題などは自己採点は難しいかな、と思われるでしょうが、
記号問題でも結構採点ミスをしています。

できれば、第三者(お母さんやお兄ちゃん・お姉ちゃん。お父さんにもやってほしいなぁ…。)が
一度採点を見直してくれると大変良いと思います。

でも、最初の採点は本人にやらせてください

「あなたの自己採点はミスが多いから、お母さんが全部採点します!」
と、言いたくなってしまうときがあるかも知れませんが、最初は子ども本人に。

なぜなら、子どもは子どもで「あの問題合っているかな…?」と、気になっている問題があるはずです。
合っているにせよ、間違っているにせよ、最初に自分で採点させることで、インパクトを残してあげたいのです。

「良かった!合ってた!」とか、「えぇ~‼これ間違ってるの!」という感情を抱かせましょう。

さて、自己採点&第三者採点が終わってからですが、

ここが本当に大切な「間違い直し」です。

今日までに子どもがすでに解き終わって、自己採点が済んでいる教科があったら、それを見て下さい。

間違いをどのように直していますか?

一番気になるのは、〇や×だけ付けて終わり。
同じくらいに恐ろしいのは、間違った問題の答えを赤ペンで書き写しているだけ。

この2点は本当におそろしいですが、実はよくあるパターンです。

子どもって、テストを受けた後では、関心のあるのは得点だけというケースが多いのです。
ですから、解いたら⇨マル付けして⇨得点を計算して⇨はい終了。
という取り組みで終わることが多いのです。

過去問を解く目的の1つは、「解ける問題は必ず正解させる」ということです。

うっかりミスをできるだけ減らすこと、できればゼロにすることが入試では大切。

それを当日に向けて練習することが過去問演習の目的です。

間違えた問題の中に、

1 落ち着いて取り組んだら解けたのではないか、という問題
2 解説を読んで、「そうか、そう考えれば良かったんだ!」と、思える問題
をあぶりだすことが大切です。

ですから、間違えた問題はもう一度解き直さなければなりません。
本人が難しいと感じた問題については、一度赤本の解説を読ませ、
自分なりに納得できたと思ってからでも良いです。

大切なのは、もう一度何も見ないで、参考にしないで解き直すこと。
そして、その解き方で答えにたどり着けるかどうかを見極めること。

大変時間がかかるかも知れませんが、間違えた全ての問題についてこの作業をしましょう。

そうすると、中には
どれだけ解説を読んでも、それだけ解き直しても
解けない、理解できない問題があることに気付きます。

焦らないでくださいね。入試問題って、そういうふうにできていますから。

どの問題を解くべきか(捨てるべきか)を見極める

ここまで作業が進んだら、最終ステップに近づいてきました。

つぎは、

1.自己採点&第三者採点終了時の得点を計算する
2.赤本に記載されている「合格最低点」等を基準にして、目標点を定める

学校によっては公表されていないこともありますが、私立高校の赤本には年度ごとの「合格最低点」が公表されているケースが多いです。この得点をもとにして、子どもの目標点を設定しましょう。

教科ごとの「最低点」は明らかになっていないと思うので、まずは「合格最低点」を受験教科数で割って下さい。その数字が1教科当たりの「合格最低点」とみなしましょう。

さあ、採点終了時点で、この「最低点」をクリアできているでしょうか?

クリアできていれば、まずは一安心。
もちろん、このみなし得点は「最低点」を基準にしているので、油断はできません。
首の皮一枚で入学されても困りますからね。

子どもはもちろんホッとした表情を浮かべるとは思いますが、
あくまでこれは「ギリギリで受かる数値だ」ということを親子で認識しましょう。

次の作業は、

3.間違い直しで、「これは解くべきだった問題」「解説を参考にして解き方が分かった問題」の得点を加えてみる

です。

もしかしたら、中々素敵な得点になったかもしれません。
または、やっと「最低点」を超えたかも知れません。

いずれにしても、この得点
「自己採点の得点」+「間違い直しで解けた問題の得点」を当日の目標得点にしたいです。

そこで、間違い直しのときにどうしても歯が立たなかった問題について考えます。

もちろん、できるだけ多くの問題に正解することができれば、それだけ合格も見えてきます。
でも、入試問題はそうそう簡単に満点を取らせてくれるような内容になっていません。

ですから、ここで「捨てても良い問題」、「捨てても我が子の合格には影響のない問題」を
見つける必要があります。

分かりやすい例を挙げると、数学の後半の問題などです。

ある学校の数学の問題が、大問が8問で構成されていたとしますね。
そして、それぞれの大問には小問が4~10問含まれている。

例えば大問1は計算問題で小問が⑴~⑽まで、最後の大問10は2次関数の問題で小問は⑴~⑷まで。

こんな感じで構成されていたとしましょう。

お子さんがどうしても、後ろの方の2次関数や立体の体積などが正解しないとします。
でも、大問1から4~5までの問題だったらそこそこ解けている問題がある。

だったら、子どもが解けそうな問題の範囲内で、先ほどの目標得点に届くかどうかを計算しましょう

もし、子どもには無理そうな問題を省いても目標得点に届くようでしたら、
無理な問題は「捨てる」判断をします。

この「仕分け」は中々子どもにはできません。

小学校から中学と、子どもたちはテストの際には
「今まで習ったことしか出題されませんから、全ての問題にしっかりと取り組みましょう。」
と教えられているからです。

でも、「解けない問題」に時間を割きすぎても意味はありません。
「解けない問題」が「解かなくて良い問題」であるならば、その問題は「捨てる」という作戦で臨むべきです。

当日の時間配分を計画する

ここまできたら、後は当日の時間配分についての作戦立てです。

子どもが「解くべき問題」と「捨ててもよい問題」を仕分けることができました。
あとは、解くべき問題を上手く試験時間内に処理するかです。

50分の試験時間で「解くべき問題」を見つけ出して、それらの問題に集中する。

言い換えれば、「解けない問題」「解かなくても合否に影響しないような問題」を見つけ出し、
それを無視して50分間を有効に使う

この練習を、過去問を解きながら養うことが重要です。

入試当日、子どもがこういった作業をこなすことができるようにするには、
やはりお母さんを始めとして、大人たちの協力が必要です。

大きくなってきた、とは言え、子どもはまだまだ子どもです。

体は大きくなってきて、口では偉そうなことを言っていたとしても、
心はそんなに鍛えられていません。
多くの子どもが、人生で初めて経験する「受験」なのです。

お母さんも思い出して下さい。
自分高校入試のときのことを。

とにかく不安な気持ちになりませんでしたか?

「自分だけ落ちたらどうしよう?」なんて思いませんでしたか?

子ども達だって、今はそういう気持ちになっていると思います。

そんな時に、お母さんがこの記事をちょこっと参考にして頂いて、我が子に寄り添って頂けると嬉しいです。

子どもが素直に私の言うことに耳を傾けてくれないと思う…。

なんていう気持ちになってしまうお母さんもおられるかも知れません。

それも分かるのですが、実は子ども自身も、自分一人では解決できないモヤモヤした気持ちを抱いてるはずです。

受験勉強はしなければならないことは分かっているけど、お母さんの言葉には正直、素直になれない…。

そんなときには、しつこいですが私の記事をネタにして、「データ」や「分析」を武器にして
子どもにアプローチしてあげて下さい。

お子さんの入試は、高校受験で終わりません。
大学入試だって控えています。

さらに、就職活動だってドンっと控えています。

子どものこれからの進路を考えると、

「データに基づいて対策を立てる」ことの重要性は増すばかりです。

この高校入試という機会を活用して、これからの人生の波に立ち向かえるような子どもになって欲しいですよね。

お父さん方も、できれば子どもの人生の大切なイベントに、積極的に参加して欲しいです。
149teacherの心からのお願いです。

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