授業が始まります
新年度が始まり、学校ではそろそろ授業が始まります。
特に新中学1年生の子どもたちにとっては、新しいことだらけの授業ではないでしょうか。
最近は小学校でも一部の教科では専任の先生が授業をされていますが、
中学校では全ての教科が教科担任制になります。
お母さんたちも良くご存じだと思いますが、
英語の授業は英語の先生。
数学の授業は数学の先生、といったシステムです。
中学校になったんだから、当然! ですよね。
でも、このシステム、よく考えたら子どもにとっては「初めまして」ですよね。
塾に通っている子どもなら、何となくイメージできると思いますが、
やはり、塾と学校とは違います。
何せ、そこで過ごす時間が全然違いますから。
小学生の間は、担任の先生がいわば保護者の代わりのような形でほぼ一日中子どもの勉強を見てくれています。それが、授業ごとにコロコロと先生が変わるようになってしまうんです。
つまり、中学校に入ったら、とても多くの先生が子供を担当することになる訳です。
残念な印象
「見た目で人を判断するな」という言葉もありますが、
やはり第一印象は大切です。
先生たちだって、初めてのクラスに入るとき、生徒1人ひとりを観察します。当然。
別に私は、
「しっかりとアピールして、先生に良い印象を持ってもらいましょう!」
などと、言うつもりはありません。
むしろ、そんなこと言ったら子どもたちは逆に嫌がると思います。
「自分を良い子に見せ続けないといけないの?」
といった具合に。
そうではなくて、
「損な評価を受けないようにはしておきましょう!」
ということをお伝えしたいんです。
印象悪いですよ
具体的に例を挙げます。
- 下を向いている子ども
- まっすぐ座ることができていない子ども
- 筆記用具などをいつもいじっている子ども
これらの様子を教室で見せていると、先生から見ると、当然ですがあまり良い印象を持てません。
一言で言えば「集中できない子」ということになります。
もちろん、子どもにも言い分はあると思います。
下を向いている子ども
机の上にあるもの(教科書やプリント類など)が気になって、ついついそちらに気が向いてしまっていることがあります。
よく観察すると、実は耳では先生の話を聞いていることが比較的多いです。
そもそも、正面を向いて先生の顔を見ることが苦手な子は多いですよね。
先生と目が合ったら当てられるかもしれない、
発言しなさいと言われたら、イヤだな…。
という理由で、敢えて下を向いている子もいます。
このような子どもたちも、やはり先生の話を聞いていない訳ではありません。
でも、教室の前に立っている先生からすると
「こちらを向いていない」と判断されかねないです。
まっすぐ座ることができていない子ども
もちろん、姿勢を正してまっすぐ座ることができていたら申し分ありません。
でも、塾で子どもを見ていたら分かりますが、正しい姿勢で座ることができている子どもって
それほど多くありません。
椅子にちゃんと腰かけていなかったり、
机と椅子とのあいだが広くあきすぎていて、足が横に出がちになったり、
肘をつく癖があって、正面から見ると上半身がやたら低くなっていたり。
個性というか、癖というか、「ピシッ」とした姿勢ができない子どもは案外多いです。
もちろん、まっすぐ腰かけて正しい姿勢でいましょうね、と口で言うのは簡単ですが、
そもそもの原因を考えてみたいと思います。
それは、今まで厳しく注意され続けていないことではないかと考えています。
あまりにひどい姿勢だと、小学校やご家庭でも大人が注意をすると思います。
でも、一度で直ることは中々ないです。
何回も注意しているうちに、大人の方が疲れてきます。
そして、「もう、いいか…。」と諦めることが多いと思うのです。
その結果、あまり注意されなくなってしまった子どもは、
自分の姿勢を「矯正」する機会を失ってしまいます。
結果として、自分の姿勢が悪いことに気が付いていないまま時間が経ってしまった子どもが増えていっているように感じています。
筆記用具などをいつもいじっている子ども
新しくシャーペンなんかを使い始めると、もう大変です。
カチカチと、必要以上にノックし続けます。
採点用の赤い筆記具も、赤鉛筆からボールペンに変わると、いつまででもカチカチします。
しまいには分解し始める子も出てきます。
好奇心です。
で、中に入っているバネがピョーン!とどこかへ飛んでいく、なんていうこともあります。
まぁ、新しいアイテムが手に入って嬉しいのでしょうね。ある程度仕方がありません。
でも、当然ですが、これを学校でやってしまったら
「君は授業中に何をして遊んでいるの?」ということになりかねません。
悪気はないんです!
色々と先生に悪い印象を与えてしまう事柄を書きましたが、
1つ言えるのは
「子ども自身には、それほど悪気はない」ということです。
私の塾でも、上に書いたような態度で入塾してくる子はいます。たくさん。
ですから、私は最初の授業のときに、バシバシ指摘します。
但し、少し配慮します。
例えば下を向いている子どもには、
「○○さん、緊張している?ホワイトボードに書いている字、小さくて読めないことはない?」
足が机の外側に出ている子どもには、
「はい、△△君、足が長いのは分かるし羨ましいけど、机の内側に入れようね。机のサイズが小さくてごめんね。」
シャーペンをいじっている子どもには
「大丈夫?シャーペン、壊れちゃった?先生が見てあげようか?」
といった感じです。
あくまで、頭ごなしに「こっちを向きなさい!」とは言いません。
だって、悪気はないのですから。
そうではなくて、「あっ、今は前を向いておかなくてはならないんだな。」と気付かせてあげることが大切なのです。
こういった対応を繰り返していると、いつの間にかほとんどの子どもが授業中には正しい姿勢を保つことができるようになります。
私は真剣に話を聞いています!
そして、子どもたちに言います。
「先生は座り方とかうるさいこと言うけれど、それは君たちが学校に行ったときに、学校の先生に誤解を与えるようなことをして欲しくないからなんだ。」
「下を向いていても、先生の話を聞いている人はいます。足が横に出ていても、耳では先生の話を聞いている人だっています。」
「でも、初めて学校の先生の授業を受けるときに、下を向いていたり姿勢が悪かったりすると、もしかして先生は君のことを『態度の悪い生徒」だという印象を持つかもしれないよ。」
「君は態度の悪い子ではないのだから、そんな風に先生に思われるのは嬉しくないよね。」
「第一印象で、『前を向かない』とか『姿勢が悪い』なんて思われてしまうと、君のことを正しく評価してもらえなくなるかもしれない。私は、それが一番悔しいんだ。」
「別に、先生に気に入ってもらいなさいとは言いません。そうではなく、『正しく評価してもらいなさい』と言いたいんです。」
大切なのは、自分は一生懸命先生の話を聞き、授業に参加しているということを
相手である先生に分かってもらうことです。
これは先生に媚びを売っているのではありません。
スポーツでも同じだと思います。
普段の練習にしっかりと取り組み、監督・コーチの指示を理解してプレイするよう心がける。
つまり、真面目で真剣であることを指導者にアピールします。
それを繰り返していたら、レギュラーになれたり、試合に出れたりしますよね?
教室という空間だって、同じです。
たくさんの先生たちに勉強を教わる子ども達に
少しでも分かってもらえたら嬉しいです。