夏期講習会のカリキュラム
お盆休みも終わり、今日から仕事に戻られた方も多いのではないでしょうか。
私の暮らす阪神地域は、曇り空だったこともあり、昨日までに比べて少し過ごしやすい昼間でした。
今日も子どもたちは頑張って夏期講習会に足を運んでくれました。
今日は中学生の夏期講習会のカリキュラムについてお話しさせてください。
多くの塾では夏期講座に「志望校合格のため先取り学習でライバルに差を付けろ!」といったキャッチフレーズで講習会の参加者を募っているかと思います。
確かに説得力がありますよね。学校の授業が止まっていて自分の勉強に取り組みことができる時期です。今のうちに学習内容を先取りしてしまって、少しでも早く過去問対策に移りたい。そうすれば、志望校合格への道のりはより短くなるのではないか?
受験生を抱えるご家庭の中には、「この作戦は良いな」と考えて講習会の申し込みをしておられるところも多いかと思います。
そして学校の授業進度を無視したカリキュラムをどんどん進めていきます。お母さんの考えに従順な子どもたちは、「これが一番良い方法なんだ。」と思って大変なノルマに飛び込んでいきます。
塾としては、塾生とその保護者に「私たちは受験のことを熟知しています。学校の授業進度では入試に間に合わないのです。ですから、私たちを信じてこのカリキュラムに沿って学習を進めましょう。」位のトークはするはずです。
でもね、私は敢えて言いたいのです。先取り学習が本当に高校入試に対して有効な手段であるかどうかを。
先取りが本当に有益なのか
中学3年生でしたら、2学期に入ると実力テストと定期テストが交互に2回ずつ行われることが多いですよね。
「実力」→「中間」→「実力」→「期末」→三者面談で受験校決定
私は兵庫県で活動しています。兵庫県では公立高校の入試に際して、内申点は入試当日の5教科の試験と同じ配点で評価されます(内申点250点・入試250点の500点満点です)。
内申点については主に「中間」「期末」といった定期考査でその数値が算出されます。
実力テストについては基本的に内申点に影響はありませんが、学校の先生方が子どもの入試当日の得点と「見なし」て活用されます。どういうことかと言うと、内申点については中学校は当然ですが確定的な数値を持っています。だって自分たちで出していますからね。
でも、入試当日の得点は、先生方には分かりません。そして、中学校は子どもたちの模擬試験の偏差値などは知りません。
そうすると、内申点は当然把握していものの、入試当日の子どもの予想得点が分からないですよね。
そこで、実力テストの登場です。
実力テストの得点を、その子の入試の得点と見なして、入試当日の子どもの得点をシミュレーションします。
そして、過去の卒業生のデータを引き合いにして、子どもの志望する学校に合格できるかどうかを会議で話し合うのです。
1学期の復習は受験対策になる
ここまで書かせて頂いて、お母さん、お分かり頂けましたか。子どもの受験校選定のデータとして、学校の学習内容に準じて勉強を進めさせることは、実は効果的なんです。
だって、実力テストは学校の履修内容に基づいて出題されますから。いくら実力テストとはいっても、学校で教えていない単元を出題したら大問題です。あくまで指導した内容に基づいて実力テストは実施されます。
そして、その実力テストの得点が入試当日の子どもの「見なし得点」として活用されるのです。
お母さんや子どもが学校の懇談で、間違いなく自分たちの志望校を受験できるように中学校と話を付けるためには、学校の学習進度を念頭に置いた勉強をする方が賢いと思います。
ですから、私の塾では、基本的に学校の理由内容をリサーチしたうえで夏期講習の教材を作ります。不必要な「先取り」はしません。
じゃあ、「先取り!」と言っている大手の塾さんはどうなのかな、と思ってネットで色々見ていると、多くの大手塾が「9月からの志望校対策!志望校別徹底対策!」などとうたって、新規の塾生を募集しています。9月から志望校対策ができるのであれば、夏休みに先取りする必要はないのに…。
そして、当たり前ですが推薦入試や特色選抜でなく、3月12日の一般入試で合格を勝ち取るつもりであるのならば、こんな時期から「志望校別」対策なんているはずがないじゃないですか。兵庫県内の公立高校の一般入試を受けるならば、問題は全て一緒です。合格ラインが学校ごとに違うだけです。
私は中学生科の英語のカリキュラムを作成していますが、毎年お預かりしている子どもたちの学校の進捗状況を調べた上で、夏期講習会のカリキュラムを作っています。
お母さん、必要以上にキャッチフレーズに惑わされてはいけませんよ。