やり方を教わっていない宿題
いよいよこの週末から夏休みに入る子供が多いです。
学校からは様々な宿題が渡されていると思います。
少しでも早く終わらせたくて、早速いそいそと取り組んでいる子どもも少なくありません。
まあ、やらないよりは良いですよね。でも、お母さんとしては「宿題を終らせた後は、一切勉強しようとはしないのだろうな…。」と複雑な心境で子どもの姿を。眺めているのではないでしょうか。
プリントやドリルもさることながら、毎年子どもを悩ませる宿題が読書感想文ではないでしょうか。多くの子どもが夏休みの終盤になっても、読書感想文だけが終わっていない、ということが多いです。
理由は明らかで、子どもたちは読書感想文の書き方が分からないのです。というよりは、書き方を教わっていないのです。
149teacherは、読書感想文という宿題を頭から否定する気はありません。ですが、もう少し子どもに親切でも良いのではないかと思います。
例えば、算数を例にあげましょう。
夏休みの宿題は全てが「復習」単元なはずです。主に1学期に学校で学習したことを、忘れないように家庭で取り組むようになっていると思います。
まだ学校で習っていない計算などを夏休み中に家で勉強してこい、ということはないですよね。
では、読書感想文は?
感想を書いても褒められない
子どもたちは、具体的な書き方を習っていないと思います。「どうやって書いたら良いの?」と大人に尋ねても、「思った通りのこと、感じた通りのことを書いたら良いんだよ。」程度のアドバイスしかもらえません。
しかも、思った通りに書いて提出したら「これは読書感想文とは言えないな。」なんて言葉が返ってきたりします。
(過去に、自分がそのように言われたことのない子どもであっても、クラスの別の誰かが先生にこのように言われたのを聞いたことがある子は、必ず委縮してしまいます。自分も同じように言われたらイヤだな…と。)
インターネット上の様々なサイトで「読書感想文の書き方」が紹介されています。どのサイトも色々なアドバイスがあり、有効だと思います。中にはアドバイスそのものが難しいものもありますが。
149teacherは子どもに質問されたら、このように答えています。
「読んだお話全体の感想は書かなくてよいです。読んでいて気に入った場面や気になった場面があったら、その場面についてだけ書くようにしましょう。」
例えば、新見南吉の「ごんぎつね」というお話があります。教科書に載っている位の作品ですから、これを題材にして読書感想文を書くことは難しいですが、お母さんにイメージして頂くために題材にしますね。
「ごんぎつね」の場面を大まかになぞると、
① 兵十が魚やうなぎを獲っている場面。(ごんがいたずらをして捕まえられた魚を川に投げ込みます)
② 兵十の母のお葬式の場面。(ごんは自分のいたずらを後悔します)
③ ごんの罪ほろぼしの場面。(ごんがいわし売りのいわしを盗んで兵十の家に投げ込みます。兵十は濡れ衣を着せられ、いわし売りに殴られます)
④ 兵十と加助の会話の場面。(ごんのしていることを2人は神様のしわざではないかと考えます)
⑤ 最後の場面。(兵十がごんを火なわ銃で撃ちます。兵十はこのときごんのしていたことを理解します)
このような感じですよね。
一番気になった場面はどこ?
ここで、①~⑤のどの場面が気になったかを子どもと一緒に考えてみます。一般的には⑤かと思いますが、別の場面でも構いません。
例えば④の場面。人間が自分の行いを神様のしわざと決めつけたことに対して、ごんは「つりあわない」と不満げな描写があります。この時のごんの気持ちはどのようなものだったのかを少し掘り下げるだけでも、それなりのボリュームの文章が書けます。
ア ごんの不満はとても自分勝手だと思う。もともと兵十に対する徒のお詫びのつもりで始めたことなのだから、兵十たちに気付かれないままでいることが当然だ。
イ もしかしたら、ごんは自分の行っていることがきっかけで、兵十と仲良くなりたかったのかもしれない。自分だったらできれば兵十と仲良くなって、いたずらをしたことをちゃんと謝りたいと思う。
ウ この場面の後でも、ごんは兵十に栗を持って行っている。「ひきあわない」と思うのだったら、もう栗を持って行かなければよかったと思う。そうすれば、最後にひどい目に遭わずに済んだ。
などといった感想を子どもが持てたら、そのことを作文用紙に書けばよいのです。できたら、お母さんが聞き役になって、「どんな景色だと思うか。」「登場人物が自分だったら、その場面でどのようなことを感じるか。」といったことを聞き取って下さったら、作業はずっとはかどるかも知れません。
お母さんが手伝わなければならない作業ではありますが、これで子どもの読書感想文が気持ちよく完成したら、もうけものだと思いませんか。