自己採点ができていない
こんばんは、149teacherです。
塾では子どもたちに自己採点をさせるときがあります。
もちろん、採点内容のチェックは私が行いますが、自分の答案を採点させることには大きな意味があります。
- 自分の答案を客観的に見るトレーニングができる
- 正しい自己採点ができると、家庭学習で活用でできる
というものです。
ところが、小学生だけではなく、中学生の中にも自己採点が正しくできない子どもが少なくありません。
間違っていてもマルを付ける
圧倒的に多いのが、誤答でもクルッと赤ペンで丸をしているケースです。
好意的に受け止めると「うっかりしていた」ということになるのかも知れませんが…。
でも、正しく自己採点できないって、とても困ったことです。
塾などで、我々教師の見ている前で自己採点作業をしているのならば、「うっかり」した採点に気付いて指摘してあげることもできます。
でも、家で一人で勉強しているときなどは、気付かずにそのまま間違った採点を続けてしまうことになりますよね。
そして、間違った自己採点にもいくつかのパターンがあります。
いくつか紹介させてください。
うちの子はどのパターン?
正しく自己採点ができていない子どものパターンと、その見分け方をいくつかご紹介しますね。
見分け方は、自己採点の間違いを指摘したときの子どもの反応で確認してください。
① 落ち着いて模範解答や自分の答えを見ていない。
「ここ、違うよ。」⇨「あっ、本当だ。」と言ってせっせと採点し直します。
- 男の子に比較的多いです。とにかくパパっと済ませたい。ですから、見ている限りは手際よく採点をしているのですが、その実、落ち着いて解答と自分の答案を見比べていません。
② 単純にズルい
「ここ、違うよ。」⇨バツの悪そうな表情を浮かべたり、場合によっては黙ったままだったりします。
- 間違いに気付いているけれど、書き直したりすることが面倒くさい。バレなければ大丈夫だろう、という気持ちに負けてしまっています。
② バツを付けたくない。間違ったことを認めたくない。
「ここ、違うよ。」⇨ブスッとした表情を浮かべるなどして、不機嫌な様子を見せます。
- 小学校の真ん中(3~4年生)あたりで勉強が面白いと感じなくなってきた子どもに多いような気がします。低学年のときは問題も簡単でスラスラと解けていたのに、少し難しい問題を解かなければならなくなったときに壁にぶつかっているように思います。サラサラとマルを付けることができないことにイライラしてしまっています。
- このパターンの子どもの応用型に「正解にはマルを付けるが、間違った解答には何も書かない」という子どもがいます。解答用紙を見ると、一見、大きなマルばかりなのです。でも、問題数に比べてマルの数が少ないのです。間違った問題があることを隠そうとしているのです。
間違いを認めたくない
どのケースも困ったことなのですが、一番厄介なのは③のパターンです。
このパターンの子は、小学校低学年の時に、難しい問題から逃げていたことが多いと思われます。ほんの少し我慢して計算をやり直したり、文章を読み直したりすると解決するような問題であっても、自分が「スラスラ」と解けないことに対して単純にストレスを感じてしまっているのです。
で、ストレスを感じて楽しくないから、それ以上頑張りたくない。スラスラ解けないから面白くない。
「勉強嫌い」と言われる子の原点はここではないか、と思います。
できて嬉しいのは当然ですが、できなかったときに周りの大人がどのように対処してあげるかが、大げさに言えば「運命の分かれ道」ではないかと思います。
間違えたときの対処を「間違えて」いる
③のパターンの子どもは、間違えたときの対処方法を間違っていたのだと思います。
私は間違えたときがチャンスだと常々子どもに伝えています。
でも、小学校低学年の頃に、間違ったことを受け止める訓練をしていない子どもには、中々伝わりません。
もしかしたら、お家で勉強しているときに、間違いをきびしく指摘され続けたのかも知れません。
又は、学校で自分一人が間違えて、それが皆に知られてしまったというような体験があるのかも知れません、
いずれにしても、こういう子どもは間違う可能性がある問題を解くことを避けようとします。
「できないから、嫌だ。」「間違えたら怒られる、笑われる。」と。
そして、塾で半ば強制的に標準的なレベルの問題を解かせると、とにかく間違いを隠そうとするのです。
やった!間違いを見つけだぞ!
普段の勉強では、ついつい「できている」ことを確認したくなります。
でも、「できていないこと」「忘れてしまっていること」に気付くことの方がもっと大切だと思います。
子どもが家で宿題をしている。
自分で採点させてみたら、採点ミスがやたら多い。
ここからが大人の腕の見せ所です。
「何て適当な採点しているの!ちゃんとやりなさい!」
と一喝するのではなく、
子どもの採点ミスがどこから生じたものなのかを観察する必要があります。
そして、
「間違いが見つかって良かったね。これを直すことができたら、また一つ賢くなるね。」
と、前向きな言葉を掛けてあげること。
そうすれば、子どもは
「間違うことだってあるんだ。」
「間違ったらやり直したら良いんだ。」
と受け止めることができるはずです。
長い長い、勉強との付き合いです。
子どもが常に100点満点を取り続けるはずがありません。
むしろ、間違いに気づき、それを前向きな気持ちで修正することができる習慣、
そしてその作業が自分を「賢く」していくんだ、という気持ちが育つと、
中学・高校と進んでいっても勉強から逃げない子になってくれると思います。