お父さんが子どもの勉強に関わること

お父さんはお子さんの勉強を見られていますか?

いきなりの質問ですが、どうでしょうか?

お子さんの年齢・学年にもよりますが、お父さん方は普段から子どもの勉強を見てあげていますか?

「仕事で帰りが遅くなるので、子どもの勉強を見る時間は中々確保できない。」
という方も少なくないかと思います。それはもっともです。お仕事、大切ですから。

ただ、できる限り子どもの勉強には関心を持って関わって頂きたいなと思っています。
その理由をいくつかお話しさせて下さい。

子どもに関心を持っていることを示す

何も、毎日のように横に座って勉強を見てやって欲しいという訳ではないのです。

むしろ、そんなことしていたら子どもが嫌がることもあるかと思います。
難しい年頃でもありますから。

そうではなくて、日々の会話の中で何気なくで良いですから、

「最近、数学はどんなことを勉強しているの?」
「今、学校では歴史のどのあたりをやっているの?」

といったようにです。

子どもが
「三角形の合同条件」とか、
「室町時代」

なんて返してくれたら、どうしましょうか?
父親としては、次の会話に続けたくなるところです。

「室町時代なんて覚えてないな」なんて反応をしたくないですよね。

でも、

答えを伝えようと思わないことがコツです

お父さんが歴史好きで、室町時代について色々と話をつなげることができると素敵かな、と思われるかも知れません。

でも、そうでもないんです。

子どもはお父さんの自慢を聞きたい訳ではありません。特に中学生。

小学生くらいの子どもでしたら、お父さんが色々話してくれると、
「うわぁ、お父さんって色々なことを知っているんだね。」
と感心してくれるかも知れません。

中学生くらいになると、「ウザい…。」(この言葉、私嫌いなんですけどね)の一言ではね返されるかもしれません。

子どもの言い分にも一理あるんです。

子どもはお父さんの自慢を聞きたいのではありません。

では、どういうスタンスで子どもに向かい合うべきか?

「お前、頑張っているな」、「その話の続き、また聞かせて」

お父さんのミッションは、

① 「お父さんも君の勉強に関心を持っているんだよ」と分かってもらうこと

② 子どもが少しでも勉強に対して意欲的になること

の2つです。

しつこいですが、「どうだ、お父さん、すごいだろ?」と自慢をすることではありません。
会社と同じです。「次世代を育てる」ことです。

ですから、自分が良く分からない内容の単元だったり、学生当時勉強していなかったりして、子どもの話が良く分からなかったりしても良いんです。

「そうか、今、そんな内容の勉強をしているんだな。面白そうだから、また、続きを聞かせてくれよ。」
「お前も、しっかり授業を聞いているんだな。お父さんも、お前に負けずに仕事、頑張ってくるな。」

こんな言葉を子どもにかけることができるお父さん、最高ですよ。

すぐにではないかもしれませんが、子どもは必ずお父さんの気持ちを受け止めてくれます。
そして、お父さんが自分のことを気にしてくれていることを実感できます。

「今度、お父さんに勉強のこと聞かれたときも、ちゃんと返事ができないと格好悪いな。」と子どもが思ってくれたら、何よりではないですか。

進路を考えるときのお父さんの立ち位置

塾ではもちろん進路指導をします。

保護者との懇談を通じて、子どもにとって少しでも良い選択を見つけようと必死になっています。

正直に言いますと、懇談のときに「厄介な」お父さん、そこそこおられます。

何が、というと、
「自分は〇〇大学を出て、今、会社で△△という役職にある。そんな私の子どもなのだから、しっかり塾でも面倒見て欲しい。」
という立ち位置のお父さん。正直申し上げて、困ります。

我々塾教師は、子どもの将来について話をしたいのです。
お父さんの経歴に関心はありません。

この子をどうしたら笑顔にできるか、
この子の力を伸ばすにはどうしてあげたら良いか、
この子が夢に近づけるようにするために、何をしてあげたら良いか、

そこに関心があるのです。

引っ掻き回さないで欲しいです…。

敢えて、きついことをお話しさせて頂きますが、
普段、子どもの勉強や進路に関心を持たれていないお父さんが、塾の懇談に来られた時、
本当にややこしいことが怒ります。

ひとつの例をして、5年ほど前の話をします。

ある女子生徒の懇談。ご両親が来られました。
その子は中々頑張っていて、上位の成績をキープしていました。

彼女の第1志望校は尼崎稲園高校。
大学入試を考えても、中々魅力的な学校ですよね。

ところが、懇談でお父さんがこう仰いました。
「尼崎はあかん!ガラが悪い!」

……もうね、手が付けられません。

そもそも、尼崎はガラが悪い!のくだりからして困ったのですが、このお父さんは、娘が「尼崎」の名前が付いた学校に通うことを強固に拒否しました。

色々と話をしたのですが、結局この子は伊丹エリアの高校に進みました。
(一生恨まれるんじゃないかな)

お父さんやお母さんがげ現役だったころと今では情勢が変わっていることが少なくありません。

高校の評価も当時と今では違います

兵庫県の公立高校入試は2009年度あたりまで伊丹・宝塚・西宮・尼崎などでは「総合選抜方式」、
その後、2015年度に16学区から5学区に再編されました。

親世代の方が受験生だったころは、総合選抜方式だったと思います。
これは、各市によって少しずつ違いはありますが、
要は受験生の居住地域に重きを置いて、合格を決定するシステムでした。

この制度は、同一市内の各高校のレベルの差が生まれにくくするためにつくられたものです。

つまり、現在とは全く違う入試システムです。

ですから、親世代の方が学高校に対して持っているイメージと、現在の難易度には大きな差があることがあります。

日々、お子さんとコミュニケーションを取ることで、ご自宅周辺の高校の評価もある程度分かってくると思います。

また、子どもが今の時点でどの高校に関心を持っているかも分かると思います。

現在の高校の状況を把握し、子どもの考えも分かることができる。

普段からの子どもとの会話が何よりも大切です。

 

そのためにも、子どもとのコミュニケーション

親世代の知識と現状を擦り合わせるためにも、普段から子どもとコミュニケーションを取ることは大変有益です。そうすることで、子どもとの会話もどんどん有益になってきます。

お父さんの思い込みで受験校を考えようとすると、必ずと言ってよいほど家族間でトラブルになります。
お父さんは、その知識を現在の状況に当てはめてから家族にアドバイスして欲しいのです。

「子どもの勉強のことは良く分からない」とおっしゃっているお父さんならば、なおさらです。

もちろん、お父さんとしても我が子に対する期待は大きいと思います。

「将来、こんな仕事について欲しい。」とか、「こんな大学に進んで欲しい。」といった夢や希望はあると思います。

でも、当然ですが、そのお父さんの気持ちを一方的に子どもに伝えたところで、子どもの心には何も響かないと思います。

子どもや奥様が考えていることを一通り聞いた上で、

「お父さんはこう思うけどな」と切り出して欲しいのです。

お父さんがお父さんであるために

お父さんがその本領を発揮するのは子どもの就職のときではないかと思っています。

社会に出ると、偏差値などでは測りきれない尺度で物事が進んでいきます。
そんな時には、お父さんの経験値が大きく発揮されることと思います。

是非子供にアドバイスしてあげて下さい。

でも、その前に、

子どもが就職活動をしているときに、
子どもがあなたの話に耳を傾けてくれるかどうかが大きいのです。

子どもが高校入試のときに、普段は無関心のくせに、後になってからぐじゃぐじゃと口をはさむ混む、
というような経緯があった場合、子どもはあなたの話を素直に聞いてくれないかもしれません。

それこそが、本当の悲劇です。

その時その時の子どもに寄り添って下さい。

12歳(小6)、15歳(中3)、18歳(高3)。
この時期の子どもはどんどん精神的にも成長していきます。

「あれ、あいつ以前はサッカー選手になりたいって言っていたのに、もうその夢をあきらめたのか?」
「少し前までは賢い大学に行くんだ!とか言っていたくせに、大学なんてどうでも良いなんて言い始めた。」

お父さんからすれば、「気持ちの定まらない奴だ」となるかも知れませんが、
子供たちは毎日のように変化していきます。

だからこそ、普段からの意思の疎通が大切なのではないでしょうか。

「僕が悩んでいるとき、お父さんは全然僕の話を聞いてくれなかった…。」なんてことにならないためにも、
毎日、一言でも子どもに声を掛けてあげて下さい。

そして、しつこいですが、「自分自慢」に話題を移さないで下さい。
まずは、子どもの言葉を聞くことに徹してみて下さい。

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