単語を20回ずつ書く「筋トレ」

何回も書いて覚える!(?)

中学校の定期テスト勉強で、単語を覚える作業は中々子どもにとっては大変かもしれません。

フォニクスの知識があればある程度切り抜けることができると思うのですが、小学校は言うまでもなく、中学校でも私の担当している子どもたちの学校ではあまりフォニクスを導入していないように感じられます。

それでも定期テストに向けて、単語は覚えなくてはなりません。

これ、慣れない子どもには大変な作業です。

で、どうしようか、どうやって練習しようか、と考えたときにふと頭の中に浮かぶのが「何回も書いて覚える。」

「よーし、テスト範囲の単語を20回ずつ書いて覚えるぞ。」と自ら決意する子もいますし、先生や親から言われてしぶしぶ始める子もいます。

この、〇〇回書くという作業、ある意味たいへん楽なんですよね。

なぜなら、黙々と手を動かしている間、何も考えなくて良いのですから。ただ、ひたすらに手を動かす。

ここまで読んでいただけたら、もちろん私がこの作業をよく思っていないことはお分かりいただけると思います。

どういったところがダメなのか聞いてください。

 

「20回ずつ書く」のここがダメ

① 回数に合理的な根拠がない

例えば20回ずつ書こう、と考えたとします。この20回の根拠は何なのでしょうか。

大体が、10回では少ない気がする。
でも、30回、40回となると大変すぎる。
20回位で覚えられるのではないか、というあたりではないでしょうか?

でもこの考えは根拠にとぼしいですよね。
もう少し細かく考えてみる必要があります。

forとdifficultを覚得なければいけないというケースで考えてみましょう。

forに20回費やすのは多すぎると思いませんか?

一方difficultについては、生徒によっては20回練習しても身に付かない子がいます。

一律に〇〇回、と決めるのは合理的ではありません。目的は単語を暗記することです。

② やたら時間がかかる。

覚えるべき単語が5個や10個ならば〇〇回書く作業もそれほど時間がかからないと思います。

でも、学校のテスト範囲に含まれる単語はもっと多いはず。

そうすると、単語を書くだけで随分と時間がかかってしまいます。「書く」だけで時間がかかるのです。

「覚えた」かどうかは二の次になってしまいます。

「書く」ことと「覚える」ことは本質的に違うということを理解しなければならないと思うのです。

③ 変な満足感を得てしまう。

上でも書いたように、やたら時間がかかる作業を行いましたから、テスト勉強(と思っている時間)が長くかかります。

ついでに、ノートも何ページも単語で真っ黒です。

「お母さん、見て!こんなに練習したよ!」と子どもの嬉しそうな声が聞こえてきそうです。

子どもからすれば、かなり時間をかけた練習です。成果を自慢したくもなります。「私、頑張った!」って。

でも、しつこいですが「書いた」だけです。「覚えた」かどうかは未知数です。

④ 写し書きの弊害もある

study  study  study  stady  stady  stady  stady  stady…….

こんなノートになってしまうこともあります。

途中からスペルが間違っていますよね。

しかもそのあともずっと…。これは子どもが前に書いてある字を見ながら次の文字を写し書きするときに起こりがちなことです。

一度どこかで間違えた単語を書いたら、そこから後ろはずっと同じ間違い。

当たり前ですよね。「見ながら」書いているのですから。

覚えるどころか、「間違ったことを覚える」ことにもなりかねません。

つまり、〇〇回書く、という練習方法はただの指の筋肉の筋トレでしかない、というのが私の持論です。

では、どうしたら良いの?

目的は、もちろん「覚える」ことです。

例えば、次のようなやり方はどうでしょうか。

【前提:覚えたい単語が50個あった場合、単語を10個ずつ5つのグループに分ける(Aグループ、Bグループ…。)】

1日目はAグループの単語を覚えましょう。

  1. 練習用のノートとテスト用のノート(紙で良いです)を用意する。
  2. Aグループの単語10個を、5分ほど時間をかけて練習用ノートに書きとって練習する。このときに注意して欲しいのは、
    ・回数を決めない
    ・ただダラダラと書き写したりしない
    ・「ここは”r”ではなく”lだな」とか、「”ス”って発音するけど、”s”じゃなくて”ce”なんだ」
    という風に、「感想」を持つ
    ・声を出して覚える(黙っているのは絶対ダメ!発音何て下手で良いですから声を出します)
  3. 練習が終わったら、テスト用の紙に今覚えた単語を一気に書いてみる(順番はバラバラで良いです)
  4. テスト用の紙に書いた単語の答え合わせをする。
  5. 間違っていた単語は、もう一度練習用のノートで練習
  6. ⑤の練習が終わったら、もう一度テスト用の紙に単語10個を一気に書く
  7. 次の日はBグループの単語を練習する。

こんな感じです。

そして、もう一つ大切なのは

次の日(Bグループの練習の日)に、まず、Aグループの10個の単語を練習なしでテスト用の紙に全部書くことができるか試してみる。

です。全部書くことができていればまずは合格。

書けない単語があれば、その単語はもう一度覚え直し。Bグループの10個に加えて、同じように練習して下さい。

上手く説明できたかどうか分かりませんが、おススメの練習方法です。

ご参考までに。

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