「友達と公民館で勉強してくるね。」

家では集中できないから

テスト前になったりすると、子どもたちの中には友達と公民館や図書館で勉強してくると言って家を出発する子がいます。

お母さんからすると、家にいてダラダラされるよりはずっと良い、と思うのではないですか。

また、子どもたちは「家で勉強しようとすると中々集中できないから。」などと言って公民館を選ぼうとします。

正直に言うと、あまりこの勉強方法はお勧めできません。

一人で公民館で勉強してくる、ならばまだ良いのです。

問題は「友達と」の部分です。

私の塾でも、友人同士連れだって自習にする子はそこそこいます。

そんな子たちに対して、私は最大限の緊張感をもって迎えます。

2人以上で集中はできません

子どもたちは自分たちで集中して勉強するから、先生の手助けは不要です。用事があったら、自分たちから先生に声を掛けます、といった内容のセリフを聞かされます。

「そうか、そうか、自分の力でできるところまでやってみようというのだな。感心だ。」などと酔っていてはいけません。

ちょこちょこと様子を伺ってみると、大体このような会話を繰り広げています。

Aさん:「ねえねえ、問3の⑵って、答えは何なの?」

Bさん:「えっ?3の⑵でしょ?…。あっ『生存権』じゃないの?」

Aさん:「そっか、ありがとう。」

また、別の時間帯にはこんな会話も…。

Aさん:「あーっ、疲れた。ちょっと息抜きにコンビニ行かない?」

Bさん:「そうだね。お腹も空いてきたから、何か食べ物買ってこようか?」

Aさん:「よし、行こう!」

勉強している気に満ちている2人は、楽しくおしゃべりしながら、ゆっくりとコンビニへ向かっていきます。そして、20分経っても帰ってきません。

いったい何をしているんだか…、と思っている中、ようやく2人が帰ってきました。それぞれの手にはチョコレートスナックやら、グミやらが入ったコンビニの袋がぶら下がっています。

ようやく自習室に戻ったと思った2人は、そこからしばらくの間「休憩」と称してスナックをかじりながらおしゃべりに興じます。

まあ、放っておいたら、こんな感じの時間の使い方をする子がほとんどです。

ここまで読んで下さったお母さん方は、「うちの子がこんな様子だったら、許せない。」と思われるかと思います。

でも、多くの子どもたちはこんなものですよ。

勉強した「つもり」になっている

まず1つ目の会話。答えをお互いに教えあっているだけです。手元の問題集の解答欄を埋めれば良いと思っているので、解答欄が埋まれば良し、となってしまっているのです。

結果として、その問題を自分で考え抜いて答えにたどり着くという大切なプロセスが完全に抜け落ちてしまいます。当然、テストで類似の問題が出ても答えられないことが多いです。自分の知識になっていませんから。

2つ目の買いものについては言わずもがなですよね。子どもたちは(決して悪気はないのですが)自分の努力に対する肯定感が強めに出ます。「これだけ頑張ったんだから、少しくらい休憩しても大丈夫だろう。」という感情です。平たく言えば、自分に甘いのです。「私なりに頑張ったのだから」少し休憩しよう、となります。

でも、1つ目の会話と組み合わせて考えて頂ければ分かっていただけると思うのですが、この時の自己肯定感は、あまり褒められたものではありません。勉強したつもりになってるだけなのです。

こんな時間を過ごしながらも、子どもは家に帰ると、「あーっ、メッチャ勉強した!」と言います。この言葉、嘘ではないです。本人は本気でそう思っています。

塾で自習している子どもに対しては、私はこういう展開が分かっていますから、早い段階でクギを刺します。

「無駄にしゃべったりしていたら、即座に帰ってもらうよ。そして、どんな様子だったかをお母さんに電話するからね。」

「お腹が空いたのなら、何か口に入れたいのは分かるけど、家からおにぎり持ってくるくらいのことはしなさい。お母さんが忙しかったら、自分で用意する位のことはしよう。買い物に行くだけで何十分もかかるのだったら、それは時間の無駄です。」

中には何ともイヤな表情をする子もいます。友達との時間を楽しみたいですからね。でも、「勉強する」ということの本質を考えたら、私としては上に書いたような時間を容認するわけにはいきません。

一人で苦しむ時間も必要です

さて、公民館(図書館)での勉強です。

私のようなうるさいおじさんはいません。もちろん、うるさくしていたら注意はされるでしょうが、そうなったら子どもたちは、「外で話そうか?」となってしまいます。結局あまり中身のない時間を過ごしているうちにそとは真っ暗になってしまうのです。

子どもが公民館や図書館で勉強してくると言い出したら、誰と行くのか聞いてください。

我が子よりできの良い子と勉強に行くと言っているからといって安心してはいけませんよ。

もしかしたらお子さんは、一方的に答えを教えてもらって終わりかも知れません。そんな作業、何の役にも立ちません。

一人で公民館に行ってくる、というのでしたら少し安心かもしれません。

でも、公民館に行ったら、同じ学校の友達と居合わせるかもしれないという危険性もあることを覚悟してください。

じゃあ、どうしたら良いの?という問いに対しては、私は、「自宅で一人で苦しませてください。」と言います。

一人で苦しんで、どうしても解決できないことがあったら、その問題に付せんを貼り付けておいて、塾に来た時に私に質問するように言って下さい、と伝えています。

勉強は「孤独」なものです。

まずは自分で悩みながら答えにたどり着こうとしなければなりません。

このプロセスをショートカットするような勉強方法は効果がないと私は信じています。

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